SMキャリアチェンジ活動

本稿はJCB Advent Calendar 2024の12月10日の記事です。


JCBデジタルソリューション開発部の長谷川と髙木です。
アプリチームではJCBが提供する様々なサービスの開発・運用をしています。
プロダクトごとにチームを分けており、我々はそれぞれ別チームで異なるプロダクトを担当をしています。

各チームごとに開発プロセスとしてスクラム開発を採用しており、長谷川・高木ともにDEV(開発者)として開発に関わっています。 今回はDEVからSM(スクラムマスター)へキャリアチェンジするにあたり、活動した内容を紹介します。

SMキャリアチェンジのきっかけ

下記はプロジェクト内の人数に対して、JCB社員が占める人数を表しています。(2022年2月末時点)

  

内製化を押し進めるにあたり、DEVの人数は増えつつありますが、現状SMの役割を担うJCB社員は0人となっています。
※アンケート時は0人だったのですが、2024年12月現在社員SM1名に増えました。
依然としてほぼ外部メンバーさん任せなのが現状ですが、JCB社員がSMを担った場合、社内外の関係部署との調整だったり、発注関係を気にしない仕事の割り振りという面ではいくつかメリットが考えられます。 メリットがあるにも関わらず、なぜJCB社員にSMがいないのか考えたところ、以下のような理由が思い当たりました。

・SM経験のあるキャリア採用者がいない

・そもそもアジャイル、スクラム経験のあるメンバーが少ない(初心者がいきなりSMはハードルが高い)

そこで、今後のキャリアとしてSMを検討している長谷川と高木が集まり「未経験からSMを目指すには何が必要なのか」と考え、本活動を開始しました。

CSM受講・展開

CSM(Certified ScrumMaster)とはScrumAllianceInc.が提供する認定資格の一種です。 スクラムに関する資格ではメジャーなものとなっています。

まずは、こちらのCSM受講を通してSMに必要なスクラムの基礎知識を体系的に学ぶとともに、CSM受講を通して学んだ知見をプロジェクトに持ち帰り、チームの改善活動に繋げることを目的として活動しました。

我々が受講したのは 株式会社アトラクタが提供する認定スクラムマスター研修です。 期間は3日間、全日程オンラインでの受講でした。 カリキュラムはアジャイル・スクラムとは?といった基本的な座学から、SMとしてロールプレイングを行ったりと、非常に密度の濃いものでした。 講座受講者は8人程度のグループに分けられており、基本的にそのグループでロールプレイングやグループワークを進めていきます。 他社でも同様にスクラム開発を進めている方と同チームになるため、スクラム開発に関する共感ネタが話せたり、実開発の悩みをお互い相談でき、非常に楽しい時間でした。 座学も基本的な話のなかに、現場での実例や小咄を混ぜて解説していただけるので、飽きることもなく、あっという間に3日間が終わりました。

特に勉強になったものの1つとして、自身のプロジェクトやJDEPプロジェクト全体で発生している問題に気づけたことがあげられます。 参加者同士悩みを相談し合うなかで、他社の開発現場で悩んでいることは、大凡JDEP内でも同様のことで悩んでいることに気づきました。 また、その悩みを解決・相談する場がJDEP内では存在せず、各チーム内で情報共有が閉じてしまっている問題も浮き彫りになりました。 ※Tech Blog内でJDEPという単語はGKE基盤を指すことも多いですが、ここではプロジェクト全体を総称しています。

スクラム勉強会実施

CSM受講の学びより、JDEP全体でスクラムの問題や解決策を共有する機会を創出する場として、スクラム勉強会を実施しました。

勉強会は不定期開催で実施しています。 第1・2回目はOST(オープンスペーステクノロジー)をベースに、アジャイル何でもお悩み相談会をオンラインで実施しました。 最初に参加者全員でテーマとして取り上げたい話題を収集し、その中から投票のうえ票数が多かった上位いくつかのものをテーマとして取り上げ、各自気になるテーマについて会話するRoomへ移動します。





移動先では、テーマの案出しをした人を皮切りに、テーマにを選択した理由だったり、悩みの解決策をざっくばらんに参加者同士で会話し合います。 会話の中で新しいアイディアが生まれたり、普段の業務上では関わり合いのないチームの状況を知ることができました。

第3回目はABD(アクティブブックダイアログ)手法を用いて、輪読会を開催しています。 今後もテーマや手法にとらわれず、引き続き勉強会を開催していく予定です。

チームビルディング企画

JDEPはまだまだ発展段階にあり、1年に1つ以上は新規のプロジェクトがスタートしています。 そこで、チーム立ち上がりのサポート経験・ノウハウ獲得を目的とし、新規・統合するチームに対してチームビルディング企画を実施しました。

チームビルディングはNASAゲームと呼ばれるコンセンサスゲームと、アジャイル・スクラムに関する解説・ワークを同時に開催し、チームワークの重要さを体感してもらえるような企画にしました。 下記は実施後のアンケート結果抜粋です。


どちらのチームでも、1人よりチームで考えた方が良い結果を得られることを実感していただけました。 多面的な検討ができたり、意見交換を通して1人では辿り着けなかったアイディアが生まれるなど、プラスの意見もいただけました。

また、普段の業務中には見えないチームの課題が浮き彫りになり、チームの改善活動に繋がるきっかけを掴むこともできました。 今後も継続的にチームビルディングを目的とした企画を実施し、チームが統一期・機能期へ進むのを促進していく予定です。

JCBのSMに必要なスキルとは

一般的にSMに必要とされる能力は、コーチング、ファシリテーション、作業支援などがありますが、JDEPのSMとして具体的に特筆して必要な能力は無いと考えています。 チームの状態や担当するプロダクトによって、その都度必要な能力は変わってくると思われます。 ただ、JCB社員がSMを担う際に、特にJDEPに貢献できそうな領域は今回の活動を通して自分たちなりに答えを見つけることができました。

1つ目はJDEP横断で情報を集め、多角的にチームの改善活動を実施することです。 外部メンバーさんのSMだと責任範囲は自信のチームに閉じてしまうので、チーム横断活動を行いづらいですが、JCB社員であれば「JDEP全体」を股にかけた活動が行いやすいと考えます。 また、他チームからプラクティスを持ち帰り、自チームの改善活動に取り入れるといったことが行いやすいと同様に、自身のチームのプラクティスを他チームに発信することも比較的容易です。 そのように自チームの改善活動のを繰り返し、更にはJDEP全体の改善をできるSMになるのが1つの理想ではないかと考えました。

2つ目はアジャイル、スクラム、IT関連など、知識の理解に差があるメンバーの支援です。 活動のなかで開催したスクラム勉強会には色んなチームの方々が参加してくださったのですが、他チームのPOの方が「アジャイルのこんなことを聞いても良いのかな」と仰っていたことが印象に残っています。 アジャイル・スクラムに関して困ったときに、相談しやすい人がいないチームもあるかもしれません。 特に業務部門から来ているビジネスPOの方にとっては、JCB社員のSMの方が聞きやすいだろうとも考えられます。 困ったとき気軽に相談できる存在へなることも、JCB社員が担うSMの目指す姿ではないかと考えます。

今後の展望

SMを目指すなかで、JDEP横断で交流し改善活動をしていく取り組みとしては、来期も引き続きスクラム勉強会を実施したいと思っています。 現在はスクラム・アジャイルに関する活動としていますが、輪読対象の本をアジャイル・スクラムに関しないもので開催するなど、門戸を広げてJDEP全体の勉強会にするのも良いかと思っています。 今回開発業務のかたわら、2人で活動していくのは正直大変だったため、メンバーを増員し、継続して持続できる活動にできるよう工夫していければと考えています。

最後になりますが、JCBでは我々と一緒に働きたいという人材を募集しています。 もちろん、SM以外のポジションも大募集中です。 詳しい募集要項等については採用ページをご覧下さい。

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